古典を読む平家物語

內容簡介

見るべき程の事は見つ―古典の群読から戱曲『子午線の祀り』へと読みを深めてきた著者が，俊寛，文覚，清盛，義仲，義経，知盛らの敘述を拾い集め，一人一人の人間像を鮮やかに甦らせる．非情の運命に抗して積極的に生き，果敢に死を受け入れた劇的な人生を再現し，無常観に彩られた敘事詩を現代の目で読み直す． ■內容紹介「祇園精舎の鐘の聲　諸行無常の響きあり　沙羅雙樹の花の色　盛者必衰のことはりをあらはす・・・」平家物語の冒頭は，美しい無常観をたたえて，人びとの心をひきつけてやまない．ここにはどう否定しようもない真実の感覚が流れている．當時は，この感覚が現実であったのだろう．著者は壯大な敘事詩のなかから，俊寛，文覚，清盛，義仲，義経，知盛を選び出し，一人ひとりの人間像を鮮やかに甦らせる．非情の運命に抗して力の限り闘い，果敢に死を受けいれる彼らの人生が，原文と自らの...(展開全部) 見るべき程の事は見つ―古典の群読から戱曲『子午線の祀り』へと読みを深めてきた著者が，俊寛，文覚，清盛，義仲，義経，知盛らの敘述を拾い集め，一人一人の人間像を鮮やかに甦らせる．非情の運命に抗して積極的に生き，果敢に死を受け入れた劇的な人生を再現し，無常観に彩られた敘事詩を現代の目で読み直す． ■內容紹介「祇園精舎の鐘の聲　諸行無常の響きあり　沙羅雙樹の花の色　盛者必衰のことはりをあらはす・・・」平家物語の冒頭は，美しい無常観をたたえて，人びとの心をひきつけてやまない．ここにはどう否定しようもない真実の感覚が流れている．當時は，この感覚が現実であったのだろう．著者は壯大な敘事詩のなかから，俊寛，文覚，清盛，義仲，義経，知盛を選び出し，一人ひとりの人間像を鮮やかに甦らせる．非情の運命に抗して力の限り闘い，果敢に死を受けいれる彼らの人生が，原文と自らの訳文の適切な引用によって浮彫りにされ，劇作家の鋭い読解が現代人の生き方に響きあう．物語には，「人はどうせ死んで行くはかないものであるには違いないが，しかし，良い人にせよ悪い人にせよ，必死に生きた人びとの生きかたを，また，そういう生きかたがからまりあってつくりだされた歴史というものを，私たちはよく見てみようではないか」という強靭な精神が流れていると著者はいう．「見るべき程の事は見つ　いまは自害せん」平家隨一の剛勇，知盛が壇浦に消えるとき，自分をとりまいて起こった人間の悲喜劇，戦い，苦悩，悲慘を一瞬のうちに見た．平家一門の最期，「海上には赤旗赤印が投げ捨てかなぐり捨てられ，汀の白浪も血に染んで薄紅に，主もない空しい船々が潮に引かれ風に隨ってどこを指すともなく揺られている」のみであった．木下順二　きのしたじゅんじ 1914年熊本県に生まれる．舊制高校卒業まで熊本に住む．東大英文科卒業．47年，熊本神風連に參加した青年たちの変革期明治維新をどう生きるかをめぐる苦悩を描いた戱曲「風浪」で注目される．以後，民話劇「夕鶴」，歴史劇「山脈」「暗い火花」「オットーと呼ばれる日本人」「神と人間のあいだ」などの力作がある．78年には「平家物語」を題材にした壯大な敘事詩劇「子午線の祀り」を発表した．小説に『無限軌道』『本郷』，シェイクスピアの翻訳もある．その業績は『木下順二集』（全16巻，岩波書店）に集成されている．

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