郊外の文學誌

郊外の文學誌

《郊外の文學誌》是岩波書店出版的圖書,作者是川本三郎

基本介紹

  • 中文名:郊外の文學誌 
  • 作者:川本三郎
  • 出版時間:2012年1月17日
  • 出版社:岩波書店
  • 頁數:416 頁
  • ISBN:9784006021955
  • 裝幀:文庫
  • 叢書:岩波現代文庫·文芸
內容簡介
明治後期から戦後に至る東京の「郊外」の発展と文學芸術作品との關わりを論じた評論集.都市の発展史,鐵道や住宅開発の歴史にも及ぶ.國木田獨歩から莊野潤三まで本書で取り上げた作家は作品がたちあがる場所を大事にしており,過去のしがらみの少ない郊外の住宅地は,個の姿がくっきり見えてくる新しい場所であると語る. - 本書は明治後期から戦後に至る時期の東京の「郊外」の発展と文學・芸術作品(絵畫や映畫を含む)との關わりを論じた評論集です。著者の他の下町を扱った本とは異なり、現在「山の手」とよばれる地區が多く取り上げられており、東京の西部を主な舞台としています。他に葛飾、小金井、東急田園都市線沿線(橫浜市緑區)、小田急線沿線(川崎市生田)も含みます。本書は文芸評論の枠を超えて、都市の発展史、鐵道、住宅開発の歴史にまで及んでいます。著者は「序」において、東京の郊外生活...(展開全部) 明治後期から戦後に至る東京の「郊外」の発展と文學芸術作品との關わりを論じた評論集.都市の発展史,鐵道や住宅開発の歴史にも及ぶ.國木田獨歩から莊野潤三まで本書で取り上げた作家は作品がたちあがる場所を大事にしており,過去のしがらみの少ない郊外の住宅地は,個の姿がくっきり見えてくる新しい場所であると語る. - 本書は明治後期から戦後に至る時期の東京の「郊外」の発展と文學・芸術作品(絵畫や映畫を含む)との關わりを論じた評論集です。著者の他の下町を扱った本とは異なり、現在「山の手」とよばれる地區が多く取り上げられており、東京の西部を主な舞台としています。他に葛飾、小金井、東急田園都市線沿線(橫浜市緑區)、小田急線沿線(川崎市生田)も含みます。本書は文芸評論の枠を超えて、都市の発展史、鐵道、住宅開発の歴史にまで及んでいます。 著者は「序」において、東京の郊外生活をよく描いている作品の代表例として石井桃子の小說『ノンちゃん雲に乗る』(1951年)をあげています。著者によれば本作品は東京・三鷹近辺のホワイトカラーの給與生活者の家庭を舞台に、子供を大切にする一家の暮らしが描かれているといいます。この、慎ましい小市民の生活を支える環境として緑豊かな郊外の風景が広がります。著者は、『ノンちゃん雲に乗る』は、郊外生活の讃歌を背景に、日中戦爭が始まり次第に戦火が拡大していくなかで、近過去の良き時代、中流階級の慎ましい暮らし、ささやかな家庭の幸福があった時代を思い出して書かれた小說であると語ります。 こうした観點をもとに、明治後半から東京の市域が拡大していく過程に沿って、目次にあげたような地域、著者の作品が論じられます。獨歩『武蔵野』に書かれた場所は渋谷であり(當時豊多摩郡渋谷村)、田山花袋が住んだ代々木とともに、大正年間はこの辺りは「郊外」と見なされていました(NHK放送センターの南側には獨歩の住居跡を示す碑があります)。この時代には本郷や牛込、四谷界隈が「山の手」でした。しかし、關東大震災後には壊滅的打撃を受けた市中から人々が郊外に多數移り住むようになり、昭和7年にはそれまでの東京15區(麴町區、神田區、京橋區、日本橋區など現在の千代田、中央、港、新宿、文京、台東、江東區の一部)に新たに渋谷、品川、目黒、世田谷、中野、大森、蒲田、葛飾、城東、向島、滝野川、王子など20區が加わり、計35區となりました(昭和22年に23區に統合)。 本書では「理想としての郊外」を求めて、その西方への拡大と文學・芸術作品との關わりが描かれています。土地と作品の分析を通して、西洋文明を享受しつつ新しい生きかたや価値観を保持し、進展させようとした人々の暮らしがよく分かります。現在の新宿歌舞伎町界隈に住んだ島崎藤村や小泉八雲、東京府北多摩郡粕谷村での徳冨蘆花、荻窪での井伏鱒二や徳川夢聲ら文士の生活などに加え、著者の誕生地の代々木山谷町(現代々木4丁目、花袋の舊居は3丁目)、生育地の阿佐ヶ谷への個人的な思いが差し挾まれます。さらには郊外の東方への拡大の例として葛飾が取り上げられ、荷風の荒川放水路へのこだわりや小津安二郎の映畫についても言及されています。この章は本書で唯一今日「下町」とよばれる地域を取り上げていますが、著者の『荷風と東京』『荷風好日』 『大正幻影』(いずれも岩波現代文庫)と同じく、下町への溫かいまなざしが感じられます。このあと武蔵境、小金井、國分寺界隈と橫浜市港北區・緑區など東急田園都市線沿線、川崎市多摩區生田を舞台にした文學作品が論じられます。このあたりまでくると、読者は、現代人がイメージする「郊外」にようやくたどりついたという印象をもつのではないでしょうか。著者は「あとがき」で、荷風が『濹東綺譚』で小說を作る時最も興を催すのは作中人物の生活と事件が開展する場所の選択とその描寫である、と記した一節を引き、主人公とお雪の關係よりも主人公と町の關係に目が行ってしまうと書いています。荷風にとどまらず、國木田獨歩から莊野潤三まで、本書で取り上げた作家はみな作品がたちあがる場所を大事にしており、過去とのしがらみの少ない、一種のフロンティアである郊外の住宅地は、個人と場所の關係がくっきり見えてくる新しい場所なのだと記して本書を閉じます。※本書の初出は『新潮』2000年1月~2002年11月連載。序を書き下ろして、新潮社より単行本として2003年2月に刊行された。

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