《荷風と東京(上)》是岩波書店出版的圖書,作者是川本三郎
基本介紹
- 中文名:荷風と東京(上)
- 作者:川本三郎
- 出版時間:2009年10月16日
- 出版社:岩波書店
- 頁數:342 頁
- ISBN:9784006021535
- 裝幀:文庫
- 叢書:岩波現代文庫·文芸
內容簡介
永井荷風が42年間にわたって書き続けた『斷腸亭日乘』.著者は「日乘」を読み込み,關連した小說やエッセイに言及し,彼の文學,生活,生きた時代と東京の細部を浮かび上がらせていく.著者自らも荷風が歩いた東京を時間旅行しながら,モダニズムの作家であると同時に江戶からの持続という視點をもっていた荷風の本質に迫る好著.(解說=持田敘子)(全2冊)■編集部からのメッセージ2009年の「荷風イヤー」におくる岩波現代文庫の第三彈として,10月には川本三郎さんの大著『荷風と東京――『斷腸亭日乘』私注』を上下2卷に分けて刊行いたします.本書は川本さんの代表作で,1996年度読賣文學賞受賞作品(1997年2月受賞)です.荷風は1903年米國・フランスに赴き,1908年に歸國した後,戰爭末期,空襲を避けて岡山や熱海への移動を迫られるまで,軽井沢と京都に旅行した以外は一…(展開全部)永井荷風が42年間にわたって書き続けた『斷腸亭日乘』.著者は「日乘」を読み込み,關連した小說やエッセイに言及し,彼の文學,生活,生きた時代と東京の細部を浮かび上がらせていく.著者自らも荷風が歩いた東京を時間旅行しながら,モダニズムの作家であると同時に江戶からの持続という視點をもっていた荷風の本質に迫る好著.(解說=持田敘子)(全2冊)■編集部からのメッセージ2009年の「荷風イヤー」におくる岩波現代文庫の第三彈として,10月には川本三郎さんの大著『荷風と東京――『斷腸亭日乘』私注』を上下2卷に分けて刊行いたします.本書は川本さんの代表作で,1996年度読賣文學賞受賞作品(1997年2月受賞)です.荷風は1903年米國・フランスに赴き,1908年に歸國した後,戰爭末期,空襲を避けて岡山や熱海への移動を迫られるまで,軽井沢と京都に旅行した以外は一切東京を離れることがありませんでした.荷風と東京を論じた本は以前にもありましたが,本書はそれまでの「文學論」「作家論」としての荷風論ではなく,東京という「都市論」を大きく前面に押し出した畫期的な著作です.すなわち,21世紀を間近にした時點で,大正から戰爭直後までのモダン都市・東京を,荷風の『斷腸亭日乘』という鏡を通して過去と現在との往還を試みながら,詳細かつ集中的に論じた最初の作品であり,従來の荷風論を根本的に轉換した名著です.本書の刊行以降,東京,都市,昭和モダニズム,シングル・ライフ,外國體験,オペラなど,多彩な視點からの荷風論がさまざまな著者により続々刊行されました.また,荷風の名を冠した雑志が発行されたり,荷風が映畫やテレビで取り上げられたり,展覧會がしばしば開かれるに至りました.本書は90年代から今日までの荷風論の盛況をもたらした先駆けであり,原點であるということができます.本書で,著者は『斷腸亭日乘』を子細に読み込み,關連した小說やエッセイなどに言及し,そこから荷風の文學,生活,荷風の生きた時代と彼の愛した東京の細部を浮かびあがらせていきます.荷風はどんなものを食べていたか,どんな映畫を見たのか,あるいはどんな女性と付き合っていたのか,そして何よりも東京のどんな町を歩いていたのか.荷風が東京の陋巷の隠れた路地へと分け入ったように,著者は荷風が歩いた深川を,砂町を,荒川放水路を,ボク東を,淺草を,市川を,時間旅行するように昔に戻った氣持ちで歩き,失われた風景を幻影を見るように見ていきます.第1~3章は総論的な章であり,第4~12章は大正期,第13~25章は昭和10年まで,第26~37章は昭和10年から終戰まで,第38章は戰爭直後から死の34年までを扱っています.本書ではこの間の東京の発展の諸相がさまざまに取り上げられますが,著者が最も注目しているのは第16章で扱われている「荒川放水路」です.「荷風文學散歩」をするとすれば,誕生地の小石川金富町(文京區春日2丁目)や偏奇館のあった麻布市兵衛町(港區六本木1丁目),玉の井(墨田區東向島5丁目),淺草を訪れることはあっても,荒川放水路まで足を向けるということはあまりないと思います.『斷腸亭日乘』に初めて放水路が現れるのは大正12年(1923年)6月のこと.「今日見たりし放水路堤防の風景は恰も二十年前の墨堤に似たり」とあり,「もうひとつの隅田川」と意識していたことが伺われます.荷風は昭和6~7年にもたびたび放水路を訪れています.昭和初期の荒川放水路は「茫漠荒涼」としたものでしたが,むしろ荷風はそこに美を見いだしました.「銀座から曾游の地である洲崎を経て,そこから放水路の堤上に出る.モダン都市の中心地銀座,深川情趣をかすかに殘す洲崎,そして新開地としての砂町を抜け,放水路へ出る.この一本の線のなかで荷風は三樣,四樣の時間と風景を體験したことになる.だからこそその果てにあらわれる放水路の寂しい風景は,荷風の孤獨な心に觸れたのだろう」(上卷248頁).荷風が荒川放水路を「発見」したように,川本さんも「荷風の荒川放水路」を「発見」したといってよいでしょう.本書では荒川放水路以外に,偏奇館や終焉の地・市川での獨棲,銀座での交遊,私娼との付き合い,『ボク東綺譚』執筆にまつわる興味深いエピソードの數々が明らかにされています.また,本書は都市性を手掛かりに荷風がモダニズムの作家であることを鮮やかに照らしだしていると同時に,漢學的な素養に基づき江戶からの持続という視點を強くもっていることをも印象づけており,「都市論」の色彩の強い著作ではありながらも,しっかりと「文學論」の面もあわせもっています.獨特の感性を持つ新世代の荷風研究者・持田敘子さんの「解說荷風を,未來へ」も必読です.岩波現代文庫文芸153川本三郎(かわもとさぶろう)1944年東京に生まれる.68年東京大學法學部卒業.評論家.91年『大正幻影』でサントリー學芸賞,97年本書『荷風と東京』で読賣文學賞受賞.他に『荷風好日』『今ひとたびの戰後日本映畫』『大正幻影』(以上岩波現代文庫),『銀幕の東京』(中公新書),『林芙美子の昭和』(新書館),『荷風語録』(編書,岩波現代文庫)など著書・編書・訳書多數